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卒塔婆(そとば) 修(しゅう)の場合
2014-04-15-Tue  CATEGORY: 卒塔婆(そとば)
 ホラー劇場 第二回


 俺は重之(しげゆき)と一緒に、裕司(ゆうじ)の家に向かった。

 通夜に出た俺達は、棺の中を覗いて驚愕した。

 何故なら、裕司の首が胴体と切り離されて棺の中に眠っていたからだ。

 一見、綺麗に繋がっているように思えたが、よく見ると一直線にスッパリと切れているのがわかる。

 俺は裕司の母親に聞こえないよう、小さな声で重之に囁いた。

「おい、見たか? 裕司の首」

「首? なんのことだよ」
 重之が訝(いぶか)しげな顔で俺に問う。

「首と胴体が離れていただろ」

「マジで!?」

 重之が大きな声をあげたので、俺は自分の手で彼の口を塞いだ。



 通夜の帰り際、俺達は裕司の母親に彼が亡くなった経緯(いきさつ)を訊ねた。

「あなた達も見たのね。裕司の首が切れているのを」

 母親はハンカチで口を押さえながら、大粒の涙を零した。

「おばさん。裕司がどうして、あんな姿になったのかわかりますか?」

 俺が問うと、母親は首を横に振った。

「わからないの。裕司が塾の帰り道に、首と胴体が離れた状態で見つかったと、警察の方から聞いて……」

 そこまで言うと母親は、わっと泣き出してしまった。

 これ以上、彼女に話を聞くのは難しいだろう。

 俺は、重之と一緒に、裕司の家を後にした。




「じゃあ、ここで別れよう」

 T字路に差し掛かり、俺と重之は別れた。

 一人になった俺は、首筋にひんやりとしたものを感じた。

 そのあと、生暖かい風が吹いて、なんとなく気分が悪くなった。

「元に戻せ……」

 見知らぬ女性の声が耳許で囁いた。

「わっ!」

 驚いて辺りを見渡したが、近くには誰もいない。

 俺は怖くなって走り出した。

 女性の声は、尚も俺の耳許で囁く。

「元に戻せ……」

 なんのことだかわからない俺は、怖くなって重之に電話した。

 携帯電話の呼び鈴が鳴り響く。

 やがて、「ただいま電話に出ることは出来ません。ピーと言う発信音の後に、お名前とご用件を……」とガイド音声が流れた。

 どうして電話に出ないんだよ!

 俺は発信音の後に、メッセージを入れた。

「今、変な女に追いかけられて……、た、助けてくれ! 俺は何を戻せば……」

 最後まで伝える前に、俺は携帯電話を地面に落とした。

 首筋に激痛を感じた後、俺の意識は途絶えてしまったからだ。


 次回へ続く


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卒塔婆(そとば) プロローグ
2014-04-15-Tue  CATEGORY: 卒塔婆(そとば)
 ホラー劇場 第一回


 プロローグ



 夏休みに入る二週間前の柳沢(やなぎさわ)中学校。

 クラスメイトの裕司(ゆうじ)が亡くなったと、本日の朝礼で知った。

「黙祷(もくとう)」

 校長の合図で、僕は瞳を閉じて、彼の冥福を祈った。

 裕司と僕は親しい間柄ではなかったため、涙は出なかった。

 むしろその逆で、僕は彼を厭(いと)わしく思っていた。

 それは何故かと問われたら、彼は僕のことを虫けら同然に扱い、よく暴力を振っていたからだ。



 朝礼が終わり、教室に戻ると、裕司と親しかった修(しゅう)が、目を赤く腫らして泣いていた。

「あんなにいいやつが、どうして死ななくちゃならないんだ」

 修を慰めるように、重之(しげゆき)が彼の背中を擦っていた。

「泣くなよ。俺だって泣きたいけど、我慢してるんだ」



 彼等のやりとりを見ていた僕は、なんとも言えない気持ちに襲われた。

 彼等は、僕に対して毎日のように、からかったり、殴ったりと繰り返していた。彼等は、血も涙も無い外道だと思っていた。

 なのに、仲間が死ぬと、こんなにも弱くなり、脆(もろ)さを見せるのか。

 背中を小さく丸めて机に伏せている修は、僕となんら変わりのない普通の人間のように思えた。

 だからと言って、僕は彼等を許す気は無いし、仲良くしたいとも思わない。



 僕と目があった重之は、凄みを利かせて睨みつけてきた。

「じろじろ見てンじゃねーよ」

 僕は何も言い返さず、顔を背けた。

 次回へ続く


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