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卒塔婆(そとば) 僕の場合2
2014-04-15-Tue  CATEGORY: 卒塔婆(そとば)
 ホラー劇場 第四回


 僕は渋々と音声を再生した。

「今、変な女に追いかけられて……、た、助けてくれ! 俺は何を戻せば……」

 これは修の声だ。僕が聞いていると、ザザーと電波が入った。

「元に戻せ……」

 これは女性の声だろうか。

 プツン。そこで電話が途切れた。

「おい、何を聞いた? 女の声が入っていなかったか?」

 重之が青ざめた顔で僕に問う。

「お前、心当たりが無いか? 俺達が恨まれるような……心当たりが」

 僕は面倒事に巻き込まれるのはゴメンなので、適当な返事をした。

「女の人をいじめたことがあるんじゃないの?」

 すると、重之は首を横に振った。

「俺達は、女に手をあげたことは一度も無い。それに、酷いことをしたのは、お前に対してだけだ」

 重之はグシャグシャと髪をかきむしり、乱暴に椅子へ腰かけた。

「それに、元に戻せと言われても、俺達は物を盗んだことは一度もない」

 重之はきっぱりと言い切った。

「じゃあ、物を壊したことは?」

 僕が訊ねると、重之はハッとしたように顔をあげた。

「そういえば……。俺達、最近、お前を墓に呼び出して、そこに備えてあった板でお前を殴ったよな……」

 そういえば、そんなこともあったな。

 あの時は本当に怖かった。夜の墓場に呼び出されたのも不気味だったし、無限に続くかと思われた暴行も恐ろしかった。

今、思い出しただけでも身震いがする。

 僕が何も言わずに黙っていると、重之は顔を机に突っ伏した。

「ヤベェ……。次に殺されるのは、俺の番かも知れねぇ」

 きっと僕は、重之がいなくなっても、辛いとか悲しいとか感じないだろう。

 だけど、ここで何もしないで、ただ重之が殺されるのを待つなんて、それでは鬼畜以外の何者でもない。

 僕は虫けら扱いをされたけれど、魂まで外道になるつもりはない。

 面倒事はごめんだけど、今、彼を放っておいた方が、後々が面倒な気がしてならない。

「あのさ……。もう僕をいじめないと約束してくれるなら、一緒に墓に行ってもいいけど……」

「えっ? なんだって?」

「だから、僕が一緒に墓に行ってもいいよ、って言っているんだ。一人じゃ、怖いだろうから」

「べ、別に怖くは無いけど、お前が一緒に行ってくれるのは、ちょっとありがたいかも知れないな」

 重之は気恥かしそうに、頭を掻きながら肯いた。


 次回へ続く

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