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卒塔婆(そとば) プロローグ
2014-04-15-Tue  CATEGORY: 卒塔婆(そとば)
 ホラー劇場 第一回


 プロローグ



 夏休みに入る二週間前の柳沢(やなぎさわ)中学校。

 クラスメイトの裕司(ゆうじ)が亡くなったと、本日の朝礼で知った。

「黙祷(もくとう)」

 校長の合図で、僕は瞳を閉じて、彼の冥福を祈った。

 裕司と僕は親しい間柄ではなかったため、涙は出なかった。

 むしろその逆で、僕は彼を厭(いと)わしく思っていた。

 それは何故かと問われたら、彼は僕のことを虫けら同然に扱い、よく暴力を振っていたからだ。



 朝礼が終わり、教室に戻ると、裕司と親しかった修(しゅう)が、目を赤く腫らして泣いていた。

「あんなにいいやつが、どうして死ななくちゃならないんだ」

 修を慰めるように、重之(しげゆき)が彼の背中を擦っていた。

「泣くなよ。俺だって泣きたいけど、我慢してるんだ」



 彼等のやりとりを見ていた僕は、なんとも言えない気持ちに襲われた。

 彼等は、僕に対して毎日のように、からかったり、殴ったりと繰り返していた。彼等は、血も涙も無い外道だと思っていた。

 なのに、仲間が死ぬと、こんなにも弱くなり、脆(もろ)さを見せるのか。

 背中を小さく丸めて机に伏せている修は、僕となんら変わりのない普通の人間のように思えた。

 だからと言って、僕は彼等を許す気は無いし、仲良くしたいとも思わない。



 僕と目があった重之は、凄みを利かせて睨みつけてきた。

「じろじろ見てンじゃねーよ」

 僕は何も言い返さず、顔を背けた。

 次回へ続く


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